夢のはじまり

 
    

ー!はじめるよ


「な〜んて暑い夜なの、それにとってもまぶしくて、息がつまりそうのはなぜ?」 
ニワトリのコウタロは、びっしょりと汗をかいて、目をさました。 なにやら黒いものが巻きつき、おまけに目の前がヒカッている。 「あたし食べられるのかしら。」 そう思った 途端、とまり木の枝から落ちそうになった。


「おっと!オバサン、しっかりしろよ。いつもの元気はどうしたのさ。」 コウタロをペロッとひとなめして、ついでに噛み付きたいのをやっとこらえている 奴・・・。 
「だれなのっ!」  「おれだよ、黒ねこのクンペイだよ。そろそろ目をさませよ、オ・バ・さ・ん!」  「何だ、ピックリしたじゃないの、 クンペイ。いったい何なのよ・・・。 頭に付けてる、ライトを消してちょうだい、それにね、私はオバさんじゃなくてお姉さんよ、 今度オバさんなんて言ったら、あんたの事ク ・ン・コ・ウって言うからね。」  「あ−あ−、悪かったよ、地球が丸いのも、み−んな俺らが悪いのさ! ところで今さ、大コウモリ、ズッコイの 家来が来て、これから森の皆を呼んで、パーティーを開くから、コウタロ姉さんと、ウサギのノミを連れて来いってさ。」 「ズッコイだなんて、私の 好みじゃないけど、闇のテイ王様じゃ断れないわね。」





う、いつだったかアヒルの親子が、パーティーを断ったら、何千というコウモリに 襲わせて、殺してしまった事があった。 それ以来、だれも断らないのをいいことに、自分勝手にパーティーをしては、森の動物達を困らせている。 

−てっと! ヘッドランプを、オバじやなくて、おね−さんの頭につけてっと。 鳥の目は 、夜になると見えないから、必要だと思ってさ。」
「それはそれは、ご親切にドーモ!! これは、ほんのお礼よ。」 と言いながら、得意の足げりをした。 「あっ!ひでーっ。」よろけたが、すばらしい猫のつめ で、木から落ちずにすんだ。 「オイオイ、あぶねーじゃんかよ。」 「だって、だれかに八つ当たりしないと、気が済まないんだもの。」 まっ、そんなわけで、渋々 、木から降りたコウタロでした。ウサギのノミは、もう下で待っていた。 「今晩はノミ、待たせたわね。」 「今晩はミス・コウタロ、とってもいやな夜になりましたね。」





十分くらい歩いただろうか、ズッコイのいるホラアナの前に、辿り着いた時でした。 いきなり大きな 叫び声がして、三匹はあわてて逃げ出そうとした、その時、「よく来たな!」と声がして、アッと思う間もなく、ズッコイの家来達に、ホラアナの中に 連れて行かれた。 「オー!待っていたぞ、 サッ、そこに座っていっしよに食べよう。  おーっと、ミス・コウタロとノミは、コーンとキャロットだったな 。 だれかっ、早く持って来〜い!」  しかし、既に部屋の中は、食べかすがアッチコッチに飛びちり、すぐには座れないほど汚い。 コウタロは、羽でイスの上をきれいにしてから 、なんとか座った。 クンペイも、シッポでササッとはらってから、ノミといっしょに座った。
「ところで、さっき大きな叫び声が聞こえたけど、何だったの?」と、気になると我慢出来ないたちのコウタロは、さり気なく聞いてみた。

ム、ありゃ、なんだ・・ミスコウタロ、 森の皆がいる前でな、リスのチョロ吉がオレ様をバカにした んで、少しこらしめたら、泣きながら森に帰って行ったんじゃよ。 それだけさ、 サーサー!それよりカンパイだ!!」  三匹は直ぐに逃げれるように、飲むまねをして イスの下にワインをすてた。





ですね、森の動物達はどこへ行ったのでしょう? 私達が来た時は、声がしていたのに、 誰もいませんね。」  「ノミよ心配するな、チョロ吉のあとから皆、裏から帰ったんじゃよ。」  「へーェ!裏からねー。 まさか、テイ王さんが食っちまったじゃねーだろーなー。」
「ホー! クンペイおれ様を疑うのかい? 心配するな。 君・ら・に・は、絶対に悪さはしないよ。ただし、オレ様の言う事を聞けば、の話だがね。」   「ほーら、やっぱり、何がねらいなのよ?」  「ふっふーん、ミス・コウタロ、オレ様は知っているぞ。 おまえ達が、森の女神から、それぞれ 不思議な石をもらったのをな。 ミス・コウタロが、空を意味するブルーの石、クンペイが、大地のブラウンで、ノミが森を表すグリーンさね。  この三つの石が一つになれば、何でも願いが、叶うそうじゃな。 ササッ!出してみな、 イヤとは言わせないぜ。 おまえらが座っているイスを、よーく見てみな、うっひ っひ。」 森のなかま達が、石のイスの中に、小さくなって、閉じ込められ、助けをもとめている。 「なんてひどい事をするのよ。 アンタにとっても 、森の仲間でしょ。」  「ツベコベ言ってねえで、ミス・コウタロ、早く石を出しな。 さもないと、仲間は全員溶けて、石になっちまうぜ!」 三匹は首輪をはずして、テーブルに置いた。 首輪の中にはそれぞれの石がはめ込まれている。 その時ズッコイの後 ろのドアが開いて、カラスのショーが現れた。

ヤー!元気かね 、諸君。」 彼は、頭の羽が一本だけピーンと立っていて、とてもカッコ良いカラスとは言えない。 近頃どこで手に入れたか、変なカガミを持っていて、そのカガミの光があたると 、なんでも石の中に閉じ込めてしまうそうだ。 ショーは東北なまりで言った。

−ミッズ.コウタロさん、オラが聞いた話ではよ、 すんばらしいリングを持ってるそうな、そいつに、光り輝く、ドクロの目が付いているそうだが、チーット、それも見せておくれでねぇかい。」
コウタロは、クチバシで器用に、右足に付けていたリングを外して、テーブルに置いた。 その時、わずかに、キラッと光ったのをクンペイは感じて、コウタロの顔を見た。 コウタロは 黙ってうなずき、リングに付いているドクロの目に 、小さな声でささやく。 「アマーダ、トルテーオ・・・・。」 ドクロの目を、ズッコイとショーがのぞいた、 
その時、ドクロの目がオレンジ色になり、光とともにドクロがいっぱい出てきて、ショーが手に持っていたカガミに、体当たりした。 ドクロのパワーが 、ズッコイとショーを5メートルほど吹っ飛ばし、気絶させた。 


ばらくして、気がつくと、ズッコイとショーの手足は縛られ、石のイスに閉じこめられたはずの森の動物達が、二匹をどうするか話し合っていた。 ドクロ達は 、カガミと石のイスを壊し、石のイスから森の動物達を助け出すと、コウタロのリングの中に戻っていったのだった。 そしてコウタロ、クンペイ、ノミの三匹は、テーブルからあの 不思議な石を取り上げて、カッチーンとぶつけあった。 その音でズッコイとショーが顔を上げた。 二匹はしばらくの間、自分達の目が信じられなかった。  突然皆の後ろに、なんと!女神様がトイレに座ったままで現れた。 二匹は、女神様が何をしているかがわかった途端、指をさしながら大声で笑い、転げ回った。 

っひっひっひ−」 「ぎゃぁは、はっはっーー。」 そりゃー、もうただ事じゃなかった。
森の動物達が、後を振り向く前に女神様は、コウタロ達に、 「もう一度やり直してちょうだい!」と言って、あわてて姿を消した。  コウタロ達は何がなんだかわからないまま、もう一度、石と石をぶつけて女神様を呼んだが、すました女神様を見て、二匹はいっそう笑い転げた。 女神様は顔を真赤にしながらも、 落ち着いた顔で  「この二匹を連れて行きます。しっかりオシオキをしますから、安心して。 皆は森にお帰りなさい。」と言って、さっさっと二匹を引きずって、消えてしまった。 
「変ね−、いつもなら皆のいる前で、オシオキや反省をさせるのに、今日の女神様はどうしたのかしら?」 コウタロ達は、ちっともわからなかった。





−てあのあと、どうなったかだって、そりや−見てはいけないものを見たんだ。 女神様だって 恥ずかしいよ。 皆に見られたと思った、女神様。 どうすればいいか考えて、魔女のブースカに相談した。 ブースカは「そんなこと、簡単よ。 み−んなに 、この薬を飲ませれば、スッコーンと記憶がなくなり、ハッピーピーッよ。」 ほっとした女神様は 、さっそく薬を森の動物達に飲ませた。 クンペイとノミは 素直に飲んだが、コウタロは、たまたま気分が悪いと言って、飲まなかった。  いっぽう、魔女のブースカは、バツをあたえるためにズッコイとショーを連れ帰った。近ごろ歳をとったので、都合のいいように、二匹を一日中 掃除させたりして。こき使った。  

トへトになった彼らは、ある日ブースカが大切にしていた、黒ワインを全部飲んでしまい、ワインが入っていた大ガメの中で、いい気持で 寝込んでしまった。 朝になって目がさめたズッコイは、声が出なくなり、ショーはただ「カァーカァー」としか言えず自分がだれであるのかも、すっかり忘れてしまった。 
 




ケコッコー!  おん鳥の声でミス.コウタロが目をさまし、池の水で顔を洗った後、首輪が ないのに気がついた。 あたりを見ても、どこにも見あたらないので、クンペイとノミに聞いてみたが、「初めからそんな物は ないよ。 夢でも見ていたんだろ。」と言われ、フト足元を見れば、ドクロのリングはちやんと付いている。 しかし、ズッコイのパーティーの事は、クンペイや、ノミをはじめ森の動物達はだれも覚えていないのだ。

ウタロ は、夢を見たんだろうか? 森の女神様の秘密はこれで守られたんだろうか??? フムフム、いや−、いいところで終わったな− ・・・ウンじゃ、またね。

P.S 好多路→こうたろ、君平→くんペい と本当は書きます。
  悠希ちやんがね、「こんど昔話を書いたら宏一君にプレゼントしたいの」
   そんな一言で、書いてみました、受け取って下さいね。