好多路(こうたろ)の夢 

 

 

 

 

「好多路(こうたろ)があらわれた」
96年6月のある日のこと、子供たちを学校に送って、帰ってきたときに車の横をスーッと、白いものが通り過ぎた。 車をいつもの場所停めてから、よーく見てみると、それはなんとニワトリじゃないか。 なんでこんな所にニワトリが、いるんだろう。 隣の家で飼い始めたのかなって思いながらも、捕まえてみたくなって、追いかけた。 なかなか捕まらないので、トンボ捕りの網をかぶして、とっつかまえて、「ヤッター」と叫んでしまった。 


そして、ウサギ小屋だったところに、入れて様子を見ることにした。 不思議なことに、このニワトリを追いかけまわしている時に、「名前は好多路にキマリだぜ。誰がなんと言おうと、決めたぞ!」 もう勝手に、自分のもののように決めている。 

めての体験は、何回してもわくわくします。 だってそうでしょ、これを読んでいるきみ!捨てニワトリを拾ったことがあるかい? 生まれて初めてだよこんなのさ。 それにしても、やけに人なつっこいニワトエイだな。 おまけに小屋に入ってるのが、イヤなのか、よく騒ぐ奴だ。 しょうがないので、小屋の回りに、金網で柵を作り、放してやるとどうだい、すぐに寄ってきては話しかけるし、なにか食べていれば、すぐに来て「ヨコセ、ヨコセ」となきわめき、クチバシで手のものはもちろん、口の中のものまでも、取ろうとして、飛び掛ってくる、とんでもないニワトリだ。  


夕方になると、物干し竿の上を、綱渡りして、一番気に入った所で、眠っていたのが、三日もすると、綱渡りをしてから、向きを変え高い木に飛び移って、眠る。 なんて、器用な奴なんだろう。 捕まえたときは、まだ若いメスかと思っていたが、こりゃーけっこうな、バーサンじゃないのか? エサばっかり食って、タマゴを産まないしな、だから捨てられたんだぜ。 でも、なんだか捨てるわけにもいかないし、なんたって俺の干支はトリだから、捨てたらバチが当たるかもしれない・・・。          

んなわけで、あれから9ヶ月になる。 今じゃすっかり歩絵夢の家族になっていて、何年もいるかのようだ。 猫の君平のエサや、ウサギのノミのエサでも、口に入るものなら、何でも食っちまう始末で、君平は、好多路が苦手のようだ。 この間も君平が、おそい昼飯を食べていると、「ちょっと、君平!あたしにもおよこしよ、あんたのエサ食べたいんだからさ。」と、スゲー声で泣きわめき、ついに君平を追い払ってしまった。 ニワトリって猫より強いって知っていたかい!      


そのかいがあって!?か、10月ごろからタマゴを産むようになったが、その前にちょっとした事件があったので、ついでに話しておこう。 あれは、確か10月の初めごろだったかな、車の前にタマゴの殻が、落ちていて、またノラ猫か、タヌキがごみをあさったのかと思っていたが、何日かして厨房の入り口にある、小さなテラスの下を、好多路が、住みかのようにしているのに気づき 、ちょっとのぞいてみると、タマゴが一つ見えた。よーし!やったぜ、タマゴ産めるじゃねーか、今までもったいつけてさ、なんて奴だ。 

いが学校から帰ってきたので、おしえると早速下にもぐって取りに行った。 「ねー、いっぱいあるよ、なにか入れ物ちょうだい。」 全部で8個あった。 好多路の得意げな顔と、チェッ見つかっちゃしょーがない、と言ってるような顔が見えた気がした。 まあそれからは、2日に1度は産むようになり、めいとゆきを喜ばせたが、ますます態度がデカクなり、どこでもおかまいなしにフンをする。 特に気に入っているのが、レストランのスリッパ入れの横で、ドアの前に陣取り、玄関の入り口付近に、フンをばら撒いてくれる、なかなかおちゃめな奴だよ。  


そうそうなぜ、好多路という名前がついたのか、話たっけな? なーにね、捕まえるときに「頭の中に、名前が浮かび、コゥーコゥーコゥーのコウタロ!」 オスだろうと、メスだろうとこれでいい、何日かして、コイツは、縛られるのがキライで、自由がスキ、だから自分の好きな道を行くついでに、たまたま歩絵夢に寄っただけなんだ。 だから高い木にちゃんと登って、自分の身を守ることを知っている。  まぁーそんなことで、好多路とは、自由なニワトリという意味です。    

アーやれやれ、やっと好多路の説明が終わった。