カーテンの向こうに

 

 

 


 皆さんは、風のカーテンとか、雨のカーテンそして、闇夜のカーテンなどを感じたことがありますか?


 我が家の猫のキキは、たまにプチ家出をする事があります。でも食事どきに、餌入れの食器をカーンカーンと叩くと、何処からかちゃんと現れて甘えます。そう、こんな時は、風のカーテンから出てきたと感じます。なのに、今回は20日も帰って来ません。賢くて、自慢の猫さんなのに。


 始まり・雨音の招待
 今日は雨、居間の窓越しに鳥の餌台を見ていると、餌台の向こうに雨のカーテンがあるように感じます。おやっ?鳥を追いかける猫がチラッと見えた気がする。気の迷いでしょうか?小鳥たちが餌台で、私を誘ってる?


 そうだ、キキを探しに行こう。傘をさして餌台の所で目を凝らすと、やはり雨のカーテンがありました。恐る恐る片足を入れてみると、グイッと中に引き込まれ・・。柔らかい光に包まれて、遠くまでは見えない。怖い、一人で行って、帰ってこれるんだろうか? どうすればいいか迷っていると。
 

 何処からともなくカケス(烏の仲間)が現れた。 「待っていたよ、彦一さん、俺はカケスのギーだよ。酉年のよしみで、中を案内するけど人間は好きじゃないよ。」 「へー、僕の名前を知ってるし、言葉まで喋るのかー、ちょっと生意気で態度がでかいね。とっつかまえて、尾羽でも抜いてやりたいね。」 「フッン! 怖がってたくせに抜けるもんなら抜いてみなよ。」と、負けず嫌いのギーは言い放つ。それを聞いた彦一は、傘をたたみながらテニスのループスゥイングよろしく、傘の柄をカケスのお尻に強烈にヒットさせて、5Mはすっ飛ばした


 「ナイスショット!」 彦一は自我自賛。 「へッへーンだ!参ったか、カケ公よ」。ところが、ギーはグッタリ・・・。 「オッ、オイ!カケ公死ぬんじゃないぞ、つい調子にのって、悪かった。」 彦一が身体をさすり、オロオロしてると、「いいかげんにしなよ、ギー。すみませんね、彦一さん、私はハツカネズミのピッポです、どうぞ宜しく」。ペコッとおじぎをして、はばかりながらやってきた。 「チエッ、ピッポの奴、いいとこなのに」。 「あっ、どうも、こちらこそ宜しく。なんだ死んだふりだったか、やれやれ」。
・・・しかし、事はもうちろりと続きます。


 ギーの自慢の尾羽が一本抜けて、彦一がポケットに隠そうとしたのを、ピッポに見つかり、「アハッ!彦一さんそれは?」 言われるが早いか、彦一はザックからオニギリを取り出し、尾羽にご飯粒をくっ付けると、素早くギーを捕まえ、元の位置に突き立てた。                                                 この素早い動きは、ギーに痛みを感じる時間を与えずに済んだ。 ピッポはこの鮮やかな動きに感動しまくっていたが、ギーはいきなり捕まれた事だけに腹を立てていた。 そのうち、お尻がムズムズして気持ちが悪くなったとワメキだしたが、彦一は「虫が止まってたからな。」と言ってトボケた。


 今度もまた、変な輩たちが登場してしまった。 今度こそ、別の雰囲気で話したいのだが、やはり作者が変な輩なのが原因か・・・? まっ、いっかー!えーと続き、続きと・・。

 「カケ公は、どうして僕が来るの、知ってたの?」 「人間共はだいたい思い上がってるから何も見えないが、彦一さんは純粋にキキに会いたいと思う気持が強かった。だからカーテンの入り口に導かれたんだよ。そうそう、俺の名はカケ公じゃない、ギーだよ、ったく。」

 
 一人に一羽と一匹をよけるように、シトシトと雨がふり始めた。 ギーは偉そうに、「ここの雨は、薄いピンク色の時は傘が要らない不思議な雨なんだ。しかし、触ると涙がとまらなくなるからな。このまま行くと道が二股になるから、そこまで行くよ。」と、ザックの上で言った。足元は何も見えず不安だが、何だか甘い匂いがする。 まるで、綿菓子の上を歩いている気分だ。 「本当にキキに逢えるだろうか?」 「まぁー、運が良ければね。俺とピッポが、道案内と危険を知らせてやるよ。」


 やがて、二股の道にさしかかった。 右には雲の絵の矢印、左には蜘蛛の絵の矢印がある。
「さて彦一さん、ゆっくり行く方が雲で、急いで行く方が蜘蛛だけど、どっちにする?」
彦一は何気なく腕時計を見て驚いた。 「何だろう?僕の時計の針がやたらと早く回っている、壊れたのかな。」 ギーが、尾羽の調子を確かめるようにグルグル飛び回りながら、「ここじゃ、時間が経つのが早いのさ。」 「なぁ、僕の頭の上で、ハエのように飛び回るの止めてくれよ。 そうか、ここは時間が経つのが早いなら、ゆっくりの雲の道にしよう。」 そう決めると、彦一はサッサと歩き出した。


 突然足元の視界が開け、草原にやってきた時だ、 ピッポが叫んだ、「彦一さん、傘を開いてしっかり持って!ギー早くザックの中に入れ!」 言われる間もなく、彦一たちは大空高く吹き飛ばされた。 彦一は下を見たとたん、腰の力が抜け、目が眩み気を失ってしまった。彦一の身体は、木の葉がゆっくりと舞う感じで落ちていく。すると、何やら下の方からグングンと伸びてくる。 それは、恐ろしく真っ黒な雨雲で出来た長い橋だ。
彦一の体が橋に引っかかり、気が付いた途端、橋は滑り台となり今度は猛スピードで滑り始めた。

 次に気が付いた時は、不思議な音が辺りに木霊(こだま)している岩屋だった。
そこには、色とりどりの水晶を叩いて雨の音作りしているムカデがいた。百本の手足を器用に使って、いろんな雨音をギーやピッポと水玉に詰めている。 「彦一さん、気がつきましたか? この水玉を、そこの泡で出来た船に次々と乗せて下さい。」 彦一は言われるがままに手伝った。水玉を乗せた泡舟は、蛍のように光っては、岩屋を飛び立って行った。どれくらい経っただろうか。
「今日はここまでにします。」と言って、ムカデは背中に手をやり、ジーッ!とジッパーを開いた。


 中からハツカネズミが出てきて、「お疲れ様でした、ピッポの母です。」 ペコッと挨拶彦一も慌てて、ペコリ。 「どれも素敵な雨音でしょう?それに、雨音を入れる水玉の綺麗なこと、一つとして同じ物が無いのよ。」 「さて彦一さん、キキの事だけどね。先日までここで私の手伝いをしていたのよ。でも、急に泡の船に乗って行ってしまったから、行き先は解らないの。そうだわ!泡の船がキキの所まで連れて行ってくれるかもしれません。但し、ここから先は一人で行くことになります。ここから先は、どんな世界があるのか解らないからです。」 


 それにしても何故ピッポのお母さんがムカデの中に居たのか?四本の手足より、百本の方がより多く仕事ができるから? 昔は小人が大勢いたが、飽きてそれぞれ泡の船に乗って、出て行ってしまったとか・・・・。

 
 そんな訳で、彦一は一人で泡の船に乗り込んだが、優しい雨音を聞いているうちに眠り込んでしまった。気が付くと、今度は我が家の居間で、あの素敵な水玉を抱えていました。 耳を付けると、心地よい雨音が聞こえます。しかし、辺りを見回してもキキがいる気配はありません。

                                  雨音の招待は、終わり                                                                                    

 今、とても気に入っているのが、宮崎吾郎監督の「ゲド戦記」挿入歌で、テルーの唄
(手嶌葵さんの歌声、素敵です)。 安らぎと懐かしさにあふれていて、いいですね。 よくよく聞いていると、これって子守唄のテンポですよね。 宮崎アニメはとても創り込まれていますね、何度見ても飽きません。


 山に入り、新しいルートを見付けた時は、一人で得意満面です。「一人で歩いていて怖くないの?」と、言われますが、自然の造形を見ていると、ワクワクし、物語もそんな時に湧き出てきます。この話の続きも出来ていますが、文章にすることの難しさに戸惑っています。