へっこき やまんば 

 

 

 

かーし、むかーしの お話だ。 みんなが知ってる、あの蓼科山に、とってもちーさいやまんばが住んでいた。 小さいくせにおお食らいで、一度食らい付くと、自分より大きい鹿を相手に、素早く飛びかかり、骨だけを残してペロッと平らげてしまうほどだから、とっても強そうに見えるが、どっこいこれがなんと泣き虫なのだ。 けらいのきつね、とニラメッコをして、負けたときのすごかったこと。 蓼科山が3回ぶるっと震えたほど、デッカイ声を出して泣いたおかげで、山の動物たちは、3日間も耳が聞こえず、お昼の鐘の音がきこえなかったので、昼飯が食べれず、ひどい目にあったもんだった。
 

たある日のこと、やまんばが山から下りてくると、大きな石の上に腰掛けて、うまそーにオニギリをほうばっている男が、いるではないか。 やまんばは、いそいで近づくと、”オラにもひとつおくれよ!”男は、いきなり後ろから声を掛けられ、ビックラコイダ・・・・。 オニギリがのどに引っかかり胸をドンドンたたいて、やっとホキダシタ。 のどからコロコロッとオニギリが、出てきた。 それをさっと取り上げると、パクッと食ってしまったではないか。 その男・・きちきちは、目を真っ赤にして怒り出し、そして、そりゃーでっかい声で泣いたと。 おかげでその後、山の動物たちは、今度は4日間も昼飯が食えなかった。
 

れには、さすがのやまんばも参ってしまい、ひらあやまりにあやまったと。 おわびに蓼科山にしかないと言われている、不思議な赤いイチゴくらいの実を、きちきちにさしだしたと。 この実は1つぶ食べると急にな”へ”がしたくなる実なのだが、きちきちは、ぽいっぽいっと3つ4つ、いっぺんに放り込んだから、たまったもんじゃあない。 あっと言う間にきちきちのおなかは、ケンタッキーのカーネルおじさんの腹みたいに、ポンポコリンに膨れ上がったと思うと、空に浮かび上がった。
 

まんばは、涙を流しながら、笑い転げまわったと。 しかし、当のきちきちは、”は、は、腹がきついよー 助けてくれー・・・” そのうちおしりが、むずむずしてきた。”出るぞ、出るぞ、ほーら”と、やまんばが言ってるそばから、きちきちのおしりから、なにやら黒いけむりのようなものが、ブス、ブスと音といっしょに出てきたかと思うと、空気がすーっとぬけていくゴムフーセンのように、プシュ プシューと飛んでいってしまった。 しばらくすると、木の枝に引っかかり、やっと止まった頃には気を失いのびきっていた。 やまんばの世話で、やっと気が付いたきちきちはまだ目を回していた。やまんばが言うにゃ”黒いけむりが出てきたらな、少しづつ出すのがコツじゃ、ほーれな” と言いながら、おしりから、少しづつけむりをはきながら、自由に空を飛び回って見せた。 きちきちは、すっかり気に入って、見とれてしまった。 ”すごいぞーおもしろそうだ。オラももういちどやりてー、たのむよ、なー” やまんばは、”そんならさ、オニギリをもう1つくれろよ”  ”あーいいとも2っつでも、 3っつでもやるよ” きちきちはオニギリを3つあげて、赤い実を5つもらった。
 

れから2人は、いそいでオニギリをほおばり、水を飲むと、すくっと立ち上がり、赤い実を1つだけ口に入れた。 きちきちがにまーっと笑ってる間に、おしりから黒いけむりが、出始めた。
今度は、やまんばに教わった通りに、少しづつ出しながら、手で向きを変えたり、宙返りしたりで、2人は夢中で遊んだ。 最後にやまんばが、”おらがな、なんでへっこきやまんばって言われるか、教えてやるだ。”そぉ言ったかと思うと、いきなりきちきちめがけて、でっかい黒い色のへをかましたから、たまったもんじゃあない。 あーれーと、山をいくつも飛び越えて、きちきちは、飛んでいってしまったとさ・・・・・。
                       おしまいだよ。